炭酸泉と言えば、市販されている入浴剤にも炭酸が含まれているのがあるので、「炭酸泉製造装置で作る炭酸泉と、市販の入浴剤で作る炭酸泉はどこが違うのですか?」と疑問を持つ人は多い。
炭酸泉研究の草分けは、臨床生理学者で山梨医科大学名誉教授の入来正躬博士が最初にあげられる。
入来博士はドイツに留学して炭酸泉の研究を深めたようで、日欧の医学界では、「医療に応用できて治療効果を得るための必要な炭酸ガス濃度は1000ppm以上」と定められている。
そうなると炭酸ガス濃度を調べたくなるのは誰しも同じだろう。
しかし、炭酸ガスの液体濃度測定器は30数万もするので、個人で濃度を調べるには、経済的負担が大きいので、参考までに当方が調べた結果を書いておきますと、市販されている入浴剤の炭酸ガス濃度は60~100ppm程度で、これはミュンヘン大学発表の「炭酸ガスの効果が得られるための最低濃度は400ppm」にも満たないことになる。
では、一般の人が簡単に炭酸濃度を知る方法はないのだろうか?
ある方から
「ホームページを見たのですが、炭酸ガスの濃度を簡単に比較する方法はないのですか?」
と当然の質問を受けたので、
「わかりました。やってみます」
と返事をし、すぐにテストをすることにした。
これは1000ppm以上の炭酸ガスが混入された映像です。
無数の泡が皮膚に付着しています。
写真①
これは市販の入浴剤の炭酸ガス混入の映像です。
入浴剤の色で見えにくいのですが、泡はほとんど付着しません。
写真②
次は、血液循環が良くなり、皮膚が赤くなるのを示したものです。
これは1000ppm以上の炭酸ガスが混入された映像です。
炭酸泉に浸けたところが発赤しているのがわかります。
皮膚の発赤は年齢や個人の平均体温、あるいは動脈硬化の程度等によっても違います。
若い人や血液循環のいい人は3分ぐらいで発赤します。
写真③
これは市販の入浴剤の炭酸ガス混入の映像です。
湯温は炭酸泉製造装置と一緒なのに、ほとんど発赤はみられません。
色が着いているのは、入浴剤の色です。
写真④
説明必要ないと思いますが、人体に炭酸ガスがどれだけ付着するかと、血液循環がどれだけ良くなるかで、炭酸ガス濃度を判定していいようです。
勿論、先駆者方々の意見があっての実験でしたが、1000ppm以上の炭酸濃度を作る装置で、40℃以下の湯温なら、皮膚の発赤を見て、濃度の判定をしていいように思います。
また、「皮膚に付着する泡は関係ない」と考えている人もいると思いますが、私たちは三つの会社の炭酸泉製造装置を使ってテストしてみましたし、去年の10月から患者さんにも治療に取り入れ、足浴の途中に炭酸ガスが切れた状態で運転していたこともありますので、炭酸ガス濃度の濃淡の違いはよくわかっています。
以上のような経緯から、炭酸ガス濃度が1000ppm以上かどうかを判定するには、「写真①のように多くの泡が付着すること」と結論を出すことができます。
重曹とクエン酸で炭酸泉が作れれば、こんな高額な器械を買う必要はないと思い、重曹とクエン酸で炭酸泉を作ってみました。
重曹とクエン酸を水槽に入れたとたんに、シュワーと泡が立ち、「これは凄い!」と思ったのも束の間、20秒くらいで泡は消え、見た目でも普通の水のようになりました。
いやいや、そんなことはない。いろんなブログに書かれているし、この本にも重曹のことが書かれているので、そんなことはないはずだ。と気を取り直して、手を入れてみることにした。
(この本には、炭酸泉での入浴のことは書かれていません)
ん?んん?
泡(炭酸ガス)がひとつも付着しない。
何で?
しかし、5分ほど待っても、何の変化もない。
水槽にも泡(炭酸ガス)は付着しない。
これでは治療用としては使えない。
それだけでは比較にならないので、今度は炭酸泉製造装置で炭酸泉を作って手を入れて見ることにした。
水槽の底にも、手にも爪にも、ビッシリ泡(炭酸ガス)が付着した。
重曹とクエン酸では、何の変化も出なかったのですが、炭酸泉の装置を使うと、毛細血管が拡張された証として皮膚も紅潮し、血液循環が良くなったことが証明される。
やっぱり泡(炭酸ガス)が問題のようです。
当会の高濃度炭酸泉製造装置は、器械本体の中でもと水炭酸ガスを混ぜ合わせますが、強力なポンプを使い、水槽に噴射させながら、炭酸ガスを捻り込むように設計してありますので、治療に使える高濃度の炭酸泉が作れるのです。